壁の記録

ほどほどの生き方から、人生の壁に挑戦します。

読書記録『無人島のふたり』山本文緒さん

山本文緒さんが亡くなったというニュースをネットで知りました。

それがきっかけで過去の出来事を思い出しました。

 

学生時代、友人から山本文緒さんの本を借りていたのです。

そして借りっぱなしのまま、今に至ります。

本当にゴメン!!!と言いたいです。

今もその友人とは付き合いがあります。

ありがたいことです。

その友人もきっと覚えているに違いありません。

返せばいいのに、なぜ返さないかというと、実家を出てから母が私の荷物を処分したからでした。

その中に友人の本も含まれていたのです。。。。。

本を借りてから早20年経過しました。

 

そんな後ろめたい気持ちを思い出したところに、書店でこの本を見つけたのです。

著者の最後の日記でした。

普段悲しくなるようなものには接しないようにしています。

けれども、すごく気になって購入しました。

すい臓がんと診断されてから半年でお亡くなりになったようです。

見出しを読んだだけでも胸が締め付けられました。

50代でご主人を残し、親御さんよりも早くこの世を去る可能性が限りなく高いことがわかった瞬間、作家である著者の気持ちの変化を立ち読みするうちに、これはちゃんと読もう、と心を決め、レジに進みました。

 

無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―

 

読んでいる最中ずっと涙がボロボロと出てきました。

今思い返しても辛いです。

薬でものすごく体調が良くなると余命が間近だとはとても思えない様子、読むだけで体調の悪さがわかる描写、淡々とした記録ですが、著者の最後まで「書きたい」という気持ちの強さが伝わってきました。

 

突然余命を知ったら、自分だったらどうするだろう、と考えました。

体調が悪くて旅行をする気持ちにはなれないかもしれない。

寝込むだけで終わるかもしれない。

身辺整理をしたくなるかもしれない。

おいしいものをたくさん食べておきたいと思うかもしれない。

家族や友人にはお別れを言えないかもしれない。

やらなかったことを後悔するかもしれない。

 

今はまだ自分事とは思えません。

が、いつか来るのです。

それを知った本でした。

 

この本の中に出てきた著者の作品をこれから読みたいです。